生々流転

この世界のあらゆるもの、あらゆる出来事は
流れゆく時間とともにあります。
激しく、穏やかに、滔々と、
渓流のように軽やかな流れもあれば
たゆたう大河を想わせる大きく緩やかな流れ、
すべてを飲み込み翻弄する濁流まで
世界はつねに流れととともにあります。
そう、世界は流れそのものです。
どんな流れも最後、大海とひとつになります。
どのように流れて来たか、流れゆくものの記憶・・・
それは大海への贈り物です。
大海はあらゆる流れをひとつにします。
私たちはどんな贈り物を大海にもたらすのでしょう・・・

霧の芳香

うっすらとした霧の神域を漂う芳香、
樹木は深く澄んだ呼吸とともに
めまぐるしく動く私たちの精神・心に囁きかけます。
あなたが足を留め、その囁きに耳を傾けるなら
優しい風にのった癒しの贈り物は
私たちのからだを包み込み、
そうっと吹き抜けてゆくでしょう。
なんて心地よい世界・・・、
そうしてあなたは想い出すでしょう、
私たちは世界とひとつだということを・・・。
騒がしかった私たちの精神・心も、
この世界のなかでいつの間にか
深い安らぎとともにあるのです。

山岳の霊神

この地から沸き立つエネルギーを感じ、
古くから脈々と受け継がれてきた信仰によって
私は多くの人々と交流を持つようになりました。
大きな山そのものでありながら、空・雲・風・雨・霧・石・岩・
鳥・動物たち・木々・草花・蝶・トンボ・・・、
あらゆるものの中に私はいます。
あなたの声も私には聴こえています。
さあ耳を研ぎ澄まして・・・
私はあなたの目の前にいるのです。

ゆらぎ

この宇宙に完全に静止しているものは何ひとつ存在しません。
恒星は莫大なエネルギーを放ち、
ブラックホールは猛烈な勢いですべてを吸い込み、
ダークマターやダークエネルギーは
見えない力で宇宙を創造してゆきます。
あらゆるものは揺らぎ、動き続けているのです。
完全に静止しているように見えるものも
その内奥で原子は揺らぎ、クォークは生成消滅を繰り返しています。
生命は揺らぎの中で巧妙にバランスを取り、
環境に適応しながらその生体を維持してゆきます。

そうして人の心もつねに揺らぎ続け、
喜怒哀楽の波に揉まれながら「私」の生き方を求め
この地球を旅してゆきます。
あなたが波に揉まれるばかりなら、
旅は舵を失った船のように彷徨うばかりでしょう。
しかしあなたには自らの方向を見定める"心"が備わっています。
深く、大きく、そして高く、魂の高みまで"心"を飛ばしなさい。
そのとき、あなたは揺らぎの遥か先へ、
しっかり舵を定めることができるでしょう。

波紋

たった一滴の雫から
波紋は周囲に広がってゆきます。
大地を揺るがす地震の波紋は
巨大な津波を引き起こすこともあります。
鳥のさえずりも、人の話し声も、ろうそくの光も、
テレビやラジオの電波も、ビッグバンの反響さえ波紋です。
すべての波紋は周囲に広がることで、何かを伝達しています。

そうして人の想いもまた、心から心へ伝わる波紋です。
美しい波紋も、歪んだ波紋も、人から人へ広がるでしょう。
人の心には波紋を歪めたり、美しく整える力が備わっています。
あなたが放つ波紋は美しい形をしていますか？
眼を閉じて、静かに心を感じてください・・・、
その波紋はあなたそのものなのです。

新芽

最も寒い季節、すでに私たちは春を感じています。
冬至が過ぎ、季節が動き始めたことを
私たちは確かに感じているのです。
あなたにも、体内深く自然のリズムが宿っています。
心を鎮めじっくり身体に同調するなら
季節は春へと動き始めたことを
あなたの身体も教えてくれることでしょう。

山林の光芒

私の影から漏れる
眩しく輝く光芒を感じてください。
光はあらゆるものに降り注ぎ、
私たちに生きる力を与えてくれます。
あなたも大きく手を広げ、
深くゆっくり呼吸をすれば
全身に満ちる光を感じるでしょう・・・

冷気

冷気は雪や氷をともなって訪れ
静寂を世界にもたらします。
あなたも沈黙して深く私に心を合わせてみなさい。
冷たく静まり返った世界では、
どんな小さな優しさ、ぬくもりも身に沁みます。
あなたはこの世界にきらきらと舞う
無数の美しい光を見いだすことができるでしょう・・・

視点

冷たい風が吹く中でも、
私たちは服を着ることもありません。
それでも私たちの必要はつねに満たされています。
寒くて可愛そう・・・、そうでしょうか？
ときに過酷に見える出来事も、実際には中立的です。
物事は水晶のように多面的で、皆さんは
好きな面から物事を観て理解し、感じることができます。
あなたがどんなに辛く苦しく感じることも、
心を自由に羽ばたかせ、もう一度、新しい視点を獲得すれば、
そのなかに新たな喜びを見いだすことが可能だと知ってください。

朝霧

朝早く、私たちが舞い降りることで
樹々は潤い、世界は輝きを増してゆきます。
朝の清々しい空気は、
新たな一日を生きるすべてのものへの
私たちの贈り物です。

太陽が高く昇る頃、
私たちは再び大気の中へ消え去り、
地球のあらゆる場所を旅します。
そうして朝が来ると再び
新たな生気を世界に満たすため、
いつもと変わらず樹々を潤すでしょう・・・